校長より

 皆さん、1学期は予想もしないことがたくさんありましたが、中でも、コロナウイルス感染症対策のため、東京オリンピックが延期となったのが大きなニュースでした。

 東京オリンピックが延期になり、年齢や体力のため、代表を断念しなければならない選手が何人か出ました。延期という選択は、人の命を守るため、それは仕方のないことかもしれませんが、選手本人にとっては、とても重要な決断だったのではないでしょうか。

 1学期の終業式にお話ししましたが、これから先、皆さんは大きな選択を迫られることがいくつもあると思います。人が成功や失敗を繰り返すように、「人生は選択の連続である」と言っている人もいます。この言葉に対する解釈は人それぞれだと思いますが、人生が選択の連続であるということに間違いはありません。イノベーション、革新を起こすようなアイデアや技術のことですが、イノベーションは多くの失敗の先に生まれるものです。しかし、失敗が許されない組織では誰も挑戦しなくなってしまいます。挑戦する人を評価する仕組みを整えることが重要であると私は思います。

もう一つ、お話をさせてください。

 「脳は一生、成長し続けることが出来る」ということについてです。

 少し前までは、業務の効率化を図るために、仕事の細分化が進み、業務内容が固定化され、毎日同じことの繰り返しになり、脳は一部の機能だけを酷使し、使われない脳の機能はどんどん劣化していくといわれていました。最近では、スマートフォンに頼りすぎて、頭も体も使わない暮らしで、脳の劣化は進んでいると言われています。最近の研究で、脳は鍛えれば、一生、成長を続けるということが分かってきました。80歳の男性が新しく趣味などを始め、1年後にMRIで脳の変化を診断すると、小学1年生が2年生になったときぐらいに、脳が成長していたという例もあるそうです。特に、努力をしなければ、50歳頃から脳は老化します。50歳になったとき、自分の脳が生き生きしているか、衰えているかは、若いころの使い方次第だそうです。ここで、脳を鍛えるための5つのことをご紹介しましょう。

 一つ目は、「苦手なことをやる」ということです。

 得意なことばかりをやっていると、特定の脳(番地)しか使われません。この状態では、脳の成長に不可欠な神経細胞のネットワークが広がりません。あえて苦手なこと、不慣れなことに挑戦しましょう。未発達な脳(番地)が刺激されて苦手を克服できるばかりか、新たな能力が開花する可能性もあります。

 二つ目は、「探索する」ということです。

 知らないことを探索してみたり、いつもと違うことをしてみたりすることで、使っていない脳(番地)を刺激するそうです。スパーでの食材探しは脳をフル回転させるそうです。是非、家庭での手伝いをしてみてください。

 三つめは、「日記をつける」ということです。

 何も考えず日々を過ごしていると、「きのう、何を食べたかの記憶がない」ということがあります。「大事なケータイをどこに置いたかも忘れる」ということもあります。「今日、何をしたか」「何を感じたか」を振り返ることはとても大切なことだそうです。簡単なメモを手帳に書き留めるだけでも記憶系の脳(番地)が鍛えられるそうです。紙とペンを使うことで、視覚系の脳(番地)や運動系の脳(番地)も使うことになります。これに「明日したいこと」を書き加えれば、思考系の脳(番地)や感情系の脳(番地)も活性化し、脳をまんべんなく鍛えられます。

 四つ目は、「夜は早く寝る」ということです。

 脳は質のいい睡眠によって、特に、思考系の脳(番地)のパフォーマンスが高まります。睡眠不足で脳を休めることができないと、脳細胞はオーバーワークになり、劣化(れっか)も進みます。

五つ目は、「体を動かす」ということです。

 体を動かすことで、日常とは別の景色を眺めたり、知らない場所で、知らない人と会話するなど、さまざま刺激を受けると、脳が幅広く発達します。運動系の脳(番地)や視覚系の脳(番地)が鍛えられるそうです。

 指示待ちやイヤイヤ仕事をしていると脳の働きは鈍くなります。自分から学ぶ姿勢を持ち、臆せず挑戦してみたらどうでしょうか。「どうせ、自分は」ではなく、リミッターを外して、物事を柔軟に考えることで、脳はまだまだ成長します。自分には無駄だと思っていたことに、目を向けてみることも良いと思います。

 

                    埼玉県立川口青陵高等学校長 梅澤 秀幸