校長より

 令和3年度が始業しました。今年も、いろいろな御話をしていきたいと思います。昨年度は、1年間、脳についての御話をしましたが、今年度は、「進化」についてお話します。

 進化とは、「生物が、周囲の条件やそれ自身の内部の発達によって、長い間にしだいに変化し、種や属の段階を超えて、新しい生物を生じるなどすること」とされています。進化生物学ではダーウィンが有名ですが、彼が、「全ての生物種が共通の祖先から長い時間をかけて、様々なプロセスを通して進化したことを明らかにしたのは有名な話ですね。

 では、なぜ、生物は進化しなければならなかったのでしょうか。

 生物は進化することが当たり前であり、進化しない方が難しいそうです。私たちの周りを見ても、なかなか生物が進化していることはわかりません。ゾウやヒトみたいに目に見える大きな生物は、進化するのに長い時間がかかり、私たちが一生のあいだに、進化を目撃することは難しいと思います。一方、進化速度が速い細菌のような生物は、小さくて肉眼では見えませんが、『新型』が名前の前に付いたり、確実に進化を遂げています。

 地球環境の変化は人類にとって大きな脅威ですが、人類は、手にした知識、技術、文化により、過酷な状況でも生存を可能にするところまで来ています。100万年という時間が立てば人間が生物的に進化したりして、今とずいぶん形を変えているかもしれませんし、もはや人間とはいえないものになっているかもしれません。

 コロナ禍における環境の変化に、人々はどのように対応するべきでしょうか。

 環境の変化への対応は、私たちが進化するのではなく、私たちが新しいものや仕組みを作り出すことだと思います。ものや仕組みを作り出すのも、進化の一つだと思います。つまり、今、何を変えるべきなのか、根本的なところに目を向け、みんなでどのように対応するか模索していかなければならないのです。「新型コロナウイルスのせいで・・・」と言っている限りは、対処療法でしか対策を考えることはできないと思います。

 コロナウイルスに目を向けてみると、ウイルスが人間を殺してしまうほどの猛威を振るう理由はさまざま考えられるでしょうが、地球上にはバラエティに富んだ多くの生物が住んでいます。相手を食料として見ている者もいれば、それぞれが、衝突をやわらげることや自身を調節しながら共存しているものもいます。それぞれが、生きる意味を持って存在してるのだと思います。開発の進んだ都市や街では風が吹くたびに塵とともに病原体が舞い上がりますが、森林では湿った土壌に捕まるそうです。そこでは多くの微生物が住んでおり、病原体はすぐに多くの微生物との競争・共生関係にはいります。つまり、ウイルスも含めた多くの要素が、互いに影響し合い複雑に混在していくそうです。そのような関係が十分に保たれている環境では、一つの病気が簡単には拡散しないと言われています。ウイルスの見方をするわけではありませんが、そういう見方もあるということです。

 新型コロナ終息後に向けて、ますます、テクノロジーの進化は加速しています。テクノロジーの進化に伴い、様々な生物の進化も進むでしょう。それに伴って、環境の変化も進むと予想されます。そういう状況の中で、生物と同じように、企業も生き残りをかけて、大きく変わろうとしています。世界的に経済は一時不況に陥るでしょうが、企業は、パーパス駆動型に移っていくと言われています。「パーパス」とは「社会における存在意義」ともいわれ、その企業が何のために存在するのかというものです。市場経済では、存在意義がない企業は、時間の経過とともに淘汰されていくからです。

 どういう企業が、これからの社会に必要とされ、大きく成長していくかを見極めることこそが、これからの生活を、心豊かに暮らしていくポイントだと私は考えます

 

                    埼玉県立川口青陵高等学校長 梅澤 秀幸